梅の里便り第32号 2011.6.11



早いもので、青梅のお届けも今年で4年目を迎えました。

年毎に多くの皆様からご注文を頂き、とても嬉しく思っています。

リピートいただいたお客様のおかげで、『うちの青梅が喜んでいただけている』と大きなやりがいを感じます。そんなお客様からうちのことを聞かれてご注文いただいた方には、ご紹介いただいた方共々、感謝の念で一杯です。そして、自らうちのHPを探し当ててご注文いただいた皆様にはただただお礼を申し上げるのみです。 皆様本当にありがとうございます。

 

そして、今までにもまして「今年も青梅をお届けできること」を嬉しく思っています。

去年のお便り(第24号)に書いたように、今直接ご縁をいただいている方だけに限らず、たくさんの人たちのおかげでお届けできているということは折に触れて感じていることなのですが、今年は特別その思いが強く感じられるように思います。

そう感じる理由はたくさんあるのですが、ここでは3つの理由を書いてみたいと思います。

 

一つ目は、自分の体、健康についてのことです。

実は去年の梅採りは、だんだん強くなってくる頭痛を我慢しながらのものでした。それでも

うちの青梅のあの香りをお客様に感じてもらいたいとの想いでなんとか乗り切ることができました。ところが、梅の収穫が終わり、後期の田植えや夏野菜の世話を再開する頃にはいよいよ頭痛が激しくなり、とうとう7月20日に出先の東京で入院する羽目になりました。その約1ヶ月間、家族はもとより、病院のみなさんや多くの友人達に本当にお世話になりました。生まれて初めて、『僕はたくさんの人に支えられて生きているんだ』と実感しました。

本当にまたとない貴重な経験をさせていただきました。(ただ、期間中の半分は記憶が定かではないのですが・・・。)http://www.youtube.com/watch?v=D8ZM0oD2cG0

ちなみに病名は「低髄圧症候群 慢性両側硬膜下血腫」というもので、今年1月半ばに完治の診断をいただくまでにも、本当に多くの皆様のお世話になりました。その全ての方々の支えがあって今年もまたお届けができているのだと実感しています。

 

二つ目は、目には見えない大いなるものに対する感謝です。

梅の収穫を直前に控えた5月29日から30日未明にかけて台風が西日本を通過しました。幸いにも直撃は免れ、紀伊半島沖を通過する頃には温帯低気圧に変わり、ホッと胸を撫で下ろしたのもつかの間、30日朝東風よりも強い吹き返しの北風がわが町を吹き荒れました。新聞によると、この風によるみなべ町の被害総額は県の調査では11億1724万円、傷も入れると収穫量の約2割に上るとのこと。

http://www.agara.co.jp/modules/dailynews/article.php?storyid=211475

うちの梅畑も例外ではなく、収穫前の梅の実がたくさん落ち、実が鈴なりの枝が何本も折れました。折れた枝はなんとも痛々しい姿でした。(写真左)

 

それでも、天は全ての恵み(収穫)を奪い去っていくことはしませんでした。

落ちずに頑張った梅の実は収穫を迎えて今年もこんなに鮮やかな紅をさしてきつつあります。(写真右) そして、今日からみなさまへのお届けを始めることができました。

         

そして、三つ目。

これが一番大きく、そしてなんとも心苦しい想いを感じつつなのですが、3月11日に起こった東日本大震災とそれに伴う原発震災で感じたことです。

これらの問題は現在も継続中のものであり、被災された皆様のご苦労やご不安を思うと、正直なところ未だにおかけする言葉も見当たらないままなのです。

 

僕の友人達の中には、直後に被災地に支援物資を届ける活動を始めた者、何度も現地に赴きボランティアに真剣に取り組んでいる者、被災された人々の心のケアをしようと活動を始めた者など、それぞれがその人なりに一生懸命に考え、自分にできることに取り組み始めた素晴らしい人たちが何人もいます。

でも僕はそういう友人達の話を聴きながら、うちの田畑をほっておくわけにもいかず、支援金を送ったり、原発に関してのことを中心に、被災地の皆さんが自己防衛するのに役立つのではないかと感じた情報を発信するのみでした。

 

『ぼくにも何か他にできることがあるのではないか?』と折につけ考えました。

でも、結局のところ、僕の使命は、さらに将来を見据えて、必要とされるときがきた時にちゃんとお届けしたり、伝えたりする力を発揮できるように、今は自らの「自然農」の力をつけていくことがより大切なのではないかという答え以外は出てきませんでした。

 

福島にも「自然農」の大先輩が何人かおられます。でも、震災以降直接連絡することができませんでした。(人づてにどうされているかは聞きましたが…。)何かできることはないか尋ねても詮無きことと思えたからです。僕も百姓ですから、福島や周辺の県の農家の皆さんの心痛は少しなりともわかるつもりです。『もし自分が現地で農業をしていたとしたら、どれだけいたたまれない気持ちがしているだろう。』 大地に根を張って、大地や田畑の命と共に生きている農家の皆さんがどれだけフィールドである田畑に想いを寄せているか。その気持ちを考えただけでもたまらない思いがしました。

そして農家の皆さんだけでなく、そこで生活している方々が自分の家族や子どもたちのことを思いやるお気持ちを考えると、殆ど力になれていない自分に対して、なんともいえない無力感に襲われることがありました。

 

青梅のこれまでのお客様の中にも福島県の浜通りに住んでおられる方がいました。僕は今年のお届けのお知らせをしたものかどうか迷いました。でもいくら考えても判断できないので、思い切ってお知らせがいるかどうか尋ねてみることにしました。

すると、そのお客様からこんなメールが返ってきました。

ご連絡、有難うございます。
 こちらは色々とあるものの、普通に生活しています。

 (そうするよう心がけているところもあるかな?)
 注文したいと、そろそろ季節だな〜と思っていました。
 こうやって、定期便の案内が来ることが有難く感じられます。」

こんばんは。こんな状況ですが、実家では梅干を作ろうとしています。
 でも、きっと去年と同じく美味しいモノができると思います。
 あのいい香りがまた嗅げるのかと思うと嬉しいです。
 実家ともども楽しみにしています。よろしくお願いいたします。
 御配慮、有難うございました。」

 

僕の方が心底勇気づけられたお返事でした。

『うちの梅の香りが少しでもお役に立てているのであれば』

『直接ボランティアに出向くことだけでなく、僕にも僕の役割としてできることがある。』

心からそう思えた暖かいお言葉でした。

今まで以上に真心を込めてお届けしなければと思いました。

もちろんご要望いただいたお客様全員に対してではありますが…。

 

そんなわけで、今年は今まで以上にうちの青梅をお届けできることが嬉しいです。

フルーティな青梅の香りが少しでもお客様方の心を癒し、心を込めて作られる梅干や梅酒や梅ジュースがお口を和ませることを願いつつ、お届けさせていただこうと思っています。

 

どうか、太陽の恵み、大地の力を一杯受けて、逞しく、自然に育った南高梅の色と香り、そこに皆様のまごころが加わって生み出されるなんともいえない風味をお楽しみいただけたら幸いです。

そして、ぜひまた、作られた梅干や梅酒、梅ジュース(梅シロップ)などの感想をお聞かせいただけると嬉しいです。

                            「梅の里自然農園」    勇惣 浩生 拝

 

なお、今年の青梅の収益の一部は、少しでも被災された方々のフォローをしたいと、震災直後に和歌山で立ち上がり活動を続けている、友人達のボランティア団体「にんにこ和歌山」に寄付させていただこうと思っています。被災された皆様がたにも、一日もはやく心の平安の日々が訪れることを願いつつ・・・。

 

・みなべ町の「南部梅林」の今年のチラシを同封しました。日程は変わりますが、来年も週末ごとに様々な催しが行われます。是非機会があれば「一目百万、香り十里」紀州みなべの「南部梅林」へお越しください。(今年の案内感謝ムービーをYoutubeにアップしています。よかったらご覧ください。http://www.youtube.com/watch?v=4Go5FF9ipNs )

みなべ観光協会→http://www.aikis.or.jp/~minabe/event/kanbai/minabe/index.html

 







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